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彼はもう…待っているかもしれない。
先に見える角を曲がるより戻った方が早い。
くるりと後ろへ体を向けて、ざわめく胸に歩幅を合わせた。
「はぁ…。」
ちょっとの距離も早歩きで息が上がる。でも、それ以上に胸の高鳴りが痛いくらい。
だって、彼が梅の木の前に立っているのが見えたから。
こういう時って、どう声を掛ければ良いの?
すくむ足を前へ押し出して、一歩一歩進む。
「ごめんなさい。遅くなって…しまいました。」
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