鼓膜の記憶③

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「はあ」   何だかよく分からない事だったので曖昧に返事をした。おじいさんは、僕にとって、とてもいい方向に何かを勘違いして、ベラベラと喋り始めた。 「ちょっと変わった人だったがまあ芸術家っていうのはそういう物なんだろうね。まだ若かったのに惜しかったなあ。一年前はここの奥さんが見れたもんじゃ無かった。可哀想に」   ぼくはおじいさんが喋る言葉を繋げて一つの答えが浮かんできて、その答えのせいで大量の疑問が浮かび口の中がカラカラになる。それでも決定的な一言が聞きたくておじいさんの話に相槌を打つ。 .
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