鼓膜の記憶③

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「いつ頃亡くなったんでしたっけ?」 「去年の春先じゃなかったかな」   おじいさんの足元で犬がくるくる回転して散歩を催促していた。 その動きは僕の理解力の低下を促していたけれど、それでも、その一言で正確な答えが弾き出された。   玲子さんは未亡人なのだ。 .
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