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「西村さーん」
「はい」
受付の女の子の語尾を延ばした言い方が毎回引っかかるけど、これも処方箋を貰うための試練と思って、我慢する。
会計をして、処方箋を受けとると、薬局に向かった。ガサガサと必要以上に音がする紙の袋を受け取り、バッグへ押し込んでから、迷いもせずいつもいくカフェへ向かう。
「カフェモカを下さい」
「ホットでよろしいですか」
この季節に冷たいカフェモカを頼む人が何パーセントいるというのだろう?
と思いながらも無言で頷く。バッグから文庫本を出して、しばらく活字を追いかけてから、飲み物を飲み干し、さも、目的はくつろぐ事、と我ながら陳腐なポーズを取ってから、トイレに向かう。
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