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このカフェのトイレは、広くてとても清潔で、居心地がいい。
トイレで立ち寄る店を決めてしまったと言っても過言ではない。
洗面台に髪の毛一つ、水滴一つ落ちていないと言うのは、安心して飲み物を頼める。
もしかしたら、ここの店長は潔癖症なのかも知れない。
個室に籠もると大急ぎで、シートから薬を出す。押し出しながら、いつも、子どもの頃、食べていたチョコレート菓子の事を思い出す。
必死に押し出す感覚が良く似ている。
もちろん今のこの動作には、わくわくした喜びなんかは一切ないのだけれど。
あれもアルミのシートに入っていて、そして色んな色をしていた。
あれを食べていた頃に戻れたら、私は違うものになれただろうか？
でも、細胞レベルでやり直せても、今と全く同じだったら絶望しか残らない。
私は、カフェの名前の入った紙ナプキンに薬を全部押し出して、ピルケースに移し替えると、会計を済ませて駅に向かった。
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