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「修ちゃんごめんね」
あれ? 音になった。
「香奈、何がごめんなんだ?」
がばっと起き上がる。夢じゃなかった? あれ? 修ちゃんがいる。
「修ちゃん、あれ? 仕事は?」
「今帰ってきたとこだよ」
「今何時?」
「七時」
質問に質問で返したのに、修ちゃんは問い詰める事もなく、心配そうな顔をしている。七時? 私はそんなに眠ってたの? 現実逃避としか思えない。
すごい! ほとんど毎日眠剤飲まなきゃ眠れないのに、現実逃避ってこんなに眠れるんだ。
「香奈、具合は?」
「大丈夫」
「そうだよな」
修ちゃんの視線の先には、よくファスナー締まったなあと感心したくなるくらい膨らんだ私のボストンバッグがあった。
ああどうしよう。見つかる前に出て行かないといけなかったのにこんなに寝てしまうなんて。
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