45人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
「答えはね、すみれさん自身の中にあるんです。周りは周り。すみれさんはすみれさん。誰かの意見は関係ないんですよ。すみれさんが幸せと感じるか、感じないか。すみれさん、今まで自分の価値観を知られるのが怖かったんじゃないですか?ご自分に合うのは、これくらい、なんて遠慮していたんじゃないかしら?幸せを掴まないように気をつけて生きているのは、もったいないことですわ。」
女性が微笑みながら言った。
私の過去が、ゆっくりと廻る…。
色々な場面が、記憶のフォトフレームに浮かび上がる…。
どれもこれも、中途半端な景色だった。
本当の自分なんて、どこにもいない。
愕然としながら、女性の顔を見た。
そして、小さな声で呟いた。
「私…、これから、どうしたらいいのでしょう…」
女性は笑みを絶やさない。
安定した笑顔に安心した。
「ご自分の本当の気持ちを大切にしていけばいいんだと思います。少しずつでいいんです。すみれさんの思っていること、考えていることを、一番大切にしてあげるの。きっと楽しい毎日になるわ。その為には、努力も必要だから、今よりもっと忙しいし大変かもしれないかもしれませんが、それ以上に得ることの方が多いはずです。すみれさん、今までの人生で本物の幸せを感じられなかったとしたら…」
店の女性は、ここで話を止めた。
私の気持ちを伺うように、確かめるように、私の目を見つめた。
私も視線をそらさずに、半ばすがるように、女性を見つめる…。
「覚悟して。これから、今までの、その分の幸せを受けるのよ!!」
店の女性、『美優さん』は、嬉しそうに笑った…。
最初のコメントを投稿しよう!