PRIDE-ROUGE

17/17
45人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
「答えはね、すみれさん自身の中にあるんです。周りは周り。すみれさんはすみれさん。誰かの意見は関係ないんですよ。すみれさんが幸せと感じるか、感じないか。すみれさん、今まで自分の価値観を知られるのが怖かったんじゃないですか?ご自分に合うのは、これくらい、なんて遠慮していたんじゃないかしら?幸せを掴まないように気をつけて生きているのは、もったいないことですわ。」 女性が微笑みながら言った。 私の過去が、ゆっくりと廻る…。 色々な場面が、記憶のフォトフレームに浮かび上がる…。 どれもこれも、中途半端な景色だった。 本当の自分なんて、どこにもいない。 愕然としながら、女性の顔を見た。 そして、小さな声で呟いた。 「私…、これから、どうしたらいいのでしょう…」 女性は笑みを絶やさない。 安定した笑顔に安心した。 「ご自分の本当の気持ちを大切にしていけばいいんだと思います。少しずつでいいんです。すみれさんの思っていること、考えていることを、一番大切にしてあげるの。きっと楽しい毎日になるわ。その為には、努力も必要だから、今よりもっと忙しいし大変かもしれないかもしれませんが、それ以上に得ることの方が多いはずです。すみれさん、今までの人生で本物の幸せを感じられなかったとしたら…」 店の女性は、ここで話を止めた。 私の気持ちを伺うように、確かめるように、私の目を見つめた。 私も視線をそらさずに、半ばすがるように、女性を見つめる…。 「覚悟して。これから、今までの、その分の幸せを受けるのよ!!」 店の女性、『美優さん』は、嬉しそうに笑った…。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!