~prologue~

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目覚ましが鳴る。 5時半ぴったりに。 ダルい。眠い。寝たい。 でも、私は起きるのだ。 そのマイナス的感情を振り払うように…。 以前までの私は、6時半に起きていた。 それから、手早く最低限度の支度をし、毎日をスタートさせていた。 『最低限度の支度では、最低限度の1日しかやってこない』 その言葉を聞いてから、私は1時間早く起きるようになった。 そして、ローズヒップティーを淹れて、そのあたたかな色を眺めながら、ゆっくりと頂く。 今までのルーティンなだけだった服装もファッション雑誌の流行を少しだけ取り入れるように努力し、メイクも自分なりに丁寧にするようにした。 私、速水すみれ 年齢、41歳。 独身。 実家暮らし。 心から許し合える親友なし。 幼い頃から、可愛くもなかった。 特に勉強も出来るわけでもなく、予習復習を重ねても、テストの点は良くならなかった。 運動会は、休みたかった。 何をやっても、努力は実を結ばず、諦めることと我慢することだけは上手くなっていた。 『私の人生は、こういうものなんだ。』 そう割りきれた時、解き放された気がした。 すべてから解放され、すべてを諦めた。 ………はずだったのに。
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