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驚いた私は、自分の足元に、カルピスの容器を落とした。
容器のプラスチックのボトルは音を立てながら中身を吐き出して、床を水浸しにした。
かかとまで落ちた赤が、カルピスに滲んだ。
暴れる容器に奪われたのは私の視線だけで、司の視線は、ずっと同じ場所にあった。
「ここ、拭いておくから、梨絵は着替えてきな。服がびしょびしょ」
司はそう言ったけど、それから、私には視線の音が聞こえるようになった。
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