第1話

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「おじさん…今日は飲まなきゃやってらんないんだよ」 モトムラはジョッキを手にとって口に運び一気に傾けた。 「おいおい、ビールみたいな飲み方してると直ぐに潰れちまうぜ?」 男は笑いながら手元のウィスキーの入ったグラスをカランと揺らした。 「ぶはっ…うぇ…ほっといてよ、俺の勝手だろ」 そしてモトムラはまたジョッキを傾けた。 男はカランとまたグラスを揺らすと口元で少し傾けた。 「お兄ちゃん、俺も昔お兄ちゃんみたいにジョッキでバーボン飲んだことあったよ」 男はコトリとグラスをおいて懐かしそうに呟いた。 「自分の一生懸命の事が失敗だって自覚したくなくてな、酒に逃げたんだ。お兄ちゃんもそんなとこだろ?」
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