第11章 君は桃

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LAのホテル。 風呂上がりの濡れた自分の髪をタオルでゴシゴシしながら、目の前のベッドに横たわる彼女を見ている。 俺の彼女は細身だけに、自分に女性らしい色気がないと思い込んでいる。 俺には投げ出された内ももの、スリムなのに柔らかそうな肌が目に入るだけで、自分の中のアンテナがすばやい起動を始めそうだけど。 でもそのあっけらかんとした明るさや、しっかりしてるのにどこか純粋さを残した性格もかわいくて、それが誰からも傷つけられないようにと庇護欲にかられる思いがする。 抱きしめて自分の腕の中に閉じ込めながら、甘く溶かして俺だけが彼女の味を知っていたい。 俺は高校生の時から彼女に夢中で、今もそれは変わらない。 昨日プロポーズを受けてくれた彼女と、今夜もまたどう熱く過ごそうか俺は考えているのに、当の本人は足元の壁にかけられたテレビを見ながらゴロゴロスタイル。 え?……このまま寝ないよな。 「ねーこの人かわいくない?」 健康美がセクシーだと、アメリカでも好感度の高い女優がトーク番組に出ている。 ショートカットで美人だけど、なんとなくアンドロイドみたいで隙のないタイプ。
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