第11章 君は桃

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好きな女の子が大切なら誠実でいたいと思うのもごく自然なことで、その気持ちで己を律するのか、オスの本能をまき散らしたいタイプか、結構くっきり二分される気がする。 俺はいくらでも愛を伝えるし、リコちゃんにこっちを向いていてもらうのに忙しい。 なんとなく……何か問題があったら彼女はあっという間にいなくなりそうで、会えなくなる日がもう一度来たら、と想像するだけで怖いんだ。 「俺の気持ちはいつもリコちゃんだけだけど……もしかしてあれ?相手が私でいいの?的な方?」 「……そう」 女の子って行ったり来たり、逡巡しないと気が済まないの?って時がある。 俺にとってのサンプルケースは母親だけど……迷いまくって決めた服を、出かけてからこれでよかったかな?って聞いたりする。 ウンウンって言っておくと納得するやつ。 「リコちゃんて、いつからそんな感じなの?中学の時に胸がないって言われたから?」 「ちょっ!人のトラウマ……言われたのは、まな板ね!」 「……くくっ」 シリアスにもなりかねない彼女の心の内を聞いても、飾ることなく話していられる。 お互い素直にふるまえる、そんな関係がいつも心地いい。
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