第11章 君は桃

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ーーーーーー 暗闇の中でハッ!と目が覚めた。 ……あれっ?今何時だ? 不安になって辺りを確かめ、隣にぬくもりがあるのを確認してホッとする。 よかった……リコちゃん、ちゃんとそばに寝てる……。 自分のせいだけど……彼女を失った時のイメージにその後幾度となく苦しめられ、でもリコちゃんの存在そのものがそんな俺を癒してくれる。 守りたい人であるはずなのに、包容力があるのはきっと彼女の方だ。 彼女はまた俺に背を向けていて、上半身には布団がかかっていなかったから、ずいっとその後ろにくっついて抱き寄せる。 はあ……ゆうべ寝ちゃったんだ。 彼女の昔話を聞いていて……いや聞いてたよ?ちゃんとね。 でも小さな声が心地よくて……。
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