第1章 もう恋なんてしない

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念願のバスケ部に入った。 市内では強い方の中学で、体育会生活の始まり。 練習は厳しかったけど、それだけ結束も固くなる。 バスケ部は皆、クラスが違ってもとても仲がよかった。 男子バスケ部も然り。 人数が多いので練習は男女別で、最後のミーティングだけ一緒にやっていた。 男女合わせてバスケ部の1年生は20人ほどいたのに、学区の端に住んでいる私と帰りが同じ方向なのはたった一人だった。 それが、滝田勝。 ショウ、って私は呼んでいた。 彼はものすごくかっこいい外見ではなかったけれど、愛嬌があってとにかく明るい子だった。 太い眉と大きな口が豪快で、男らしかった。 校則で決まっているわけじゃないけど、男バスの伝統で部員はスポーツ刈り。 ショウもご多分に漏れず、同じ髪型だった。 「ショウ、かえろー」 平日はほぼ毎日部活があったから、終わると私はいつもそう言ってショウの頭を撫でる。 固いような柔らかいような。 亀の子タワシとは違うその感触が、私は結構好きだった。 ショウは 「んっだよ、リコさわんなよ!」 とか口の悪い言い方をしながら、それでも毎日一緒に帰った。
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