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「へ?」
今の私、あきれるくらい面食らったマヌケ面をしているだろう。
高坂さんの言葉が、まるで花火のように目の前ではじけて、水分でボヤけた視界に、急に光がさして明るくなる。
「いや、もし良かったら、なんだけど……」
「いっ、行きゃまっしゅ」
自分が言いたくて仕方がなかった言葉が、まさかの高坂さんから返ってきて、力みすぎてしまい、そりゃもう不細工な返事になってしまった。
口だけ笑っているような、おかしすぎる顔を向けて。
やった……
まだ高坂さんと一緒にいられる。
感激にうち震えていると、
「俺の家の近所に行きつけの店があるんだけど、そこでいいかな?」
ジャケットの内ポケットからパスケースを出しながら、私にもう一度歩み寄ってくる高坂さん。
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