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ま、まずはお礼を言わなきゃ。
「あのっ、いつも大変お、お世話になっております」
まるで、会社の取引先の人とのお決まり文句かのような言葉が飛び出す。
「いえ、こちらこそ」
……。
いつもなら何かしら冗談めいた突っこみをしてきそうなJUNさんだが、意外にもアッサリとした返しに言葉が詰まる。
「AIさん、何があったのか説明してもらえる?」
ゆっくりとした口調で、再び説明を促すJUNさん。
「……さっき、上司から電話が掛かってきて……」
「ん」
「でも、出たのは亜美さ……例の女の人で」
「ん」
私の息継ぎに合わせて、小さく相槌を入れてくれるJUNさんの声が心地よい。
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