8 #3

7/19
前へ
/35ページ
次へ
「優心はあの事故の日から、由美が死んだのは自分のせいだと自分を責め立ててね…… それから恋をしなくなったんだ。 それが、数年経ったある日、ふと、こんなことを俺に言って来たんだ。 会社の後輩に気になる子がいるってね」 「え?」 「それが、AIさんのことだったんだ。 優心は言っていたよ、純粋で擦れてなくて今時珍しく可愛い子なんだって。 それと、こんなことも言っていたかな、毎日定時になるといつの間にかいなくなっているってね」 切なげな表情を残したまま、フフと、小さく笑うJUNさん。 私は、ポロポロと涙が出てきてしまって返事も出来ないまま、うんうんと何度も頷いた。 「久しぶりに優心の楽しそうな顔を見たんだ。 だから、どうしても優心に新しい恋をしてほしくて、AIさんとどうしても付き合ってほしくて…… 会社帰りのAIさんを尾行して、あのポケットティッシュを作って渡したんだ。 AIさんが優心を少しでも想っていてくれているのなら、力になりたいと思って、ね」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

412人が本棚に入れています
本棚に追加