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――ッ!
あのティッシュ配りの人はJUNさんだったの?
凄く驚いたけど、高坂さんの今までの苦悩や、JUNさんが弟を想う気持ちが切なくて、そんな中に何も知らないノー天気な自分がいることが、おこがましく思えた。
何も知らないで、一人で勝手に浮かれて、自分に自信がなくて勝手に傷ついて、高坂さんを誤解して怒って……背を向けた。
「今、思えば、行き当たりばったりのとんでもない作戦だったなって自分でも思うよ。
オフィス テンダーハートなんて優心の名前からつけたりして……
だけど、もう一度、優心に温かくて優しい心を取り戻してほしかったんだ」
テンダーハート。
優しい心、優心。
どうして気付かなかったんだろ。
「ヒッ、ズズズ」
涙も鼻水も止まらなくて、ボロボロになった顔をJUNさんに向ける。
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