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「そんなこと許さない、絶対に」
今まで見たこともない彼女の顔に、一瞬、言葉を失う。
その顔は、身の毛がよだつような、今にも人を刺し殺そうな顔をしていたから。
「あ……み……」
すると、今度は鬼のような形相から突然、にこやかな表情になる。
「そういうことだから、とりあえず、私の部屋に行きましょう」
「は?」
虚を突かれ、頓狂な声が出てしまう。
「はぁ……、言わなきゃわからないみたいね。
いい?
あなたは由美を殺したの。
私の大事な妹を殺したの。
それは消せない事実。
あなたには、一生をかけて償ってもらう。
そういう約束だったじゃない?
今更、やめたいなんてふざけないで。
今まで通り、秘密にすればいい。
皆にも、花園さんにもね。
ふふ、私達秘書課は一人部屋なの知ってるでしょ?
去年も私の部屋で一緒にいたんだから。
さっ、行きましょう」
身振り手振りで、まるでドラマのセリフかのように淡々と残酷な言葉を並べる。
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