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俺の腕を強引に引き、歩き出そうとする亜美。
「……もう、やめてくれ」
今まで散々付き合ってきたじゃないか。
「やめない」
振り返りざまにキッと目をむく亜美。
「由美のことは、どんなことをしたって償えることじゃないのはわかってる。
亜美には心の底から申し訳ないと思ってるよ。
でも……
あの事故は防ぎようがなかった。
それはお前も知ってるだろ?
もう……お互い過去を引きずるのはよそう。
前に進むんだ」
「イヤッ、前になんて進みたくない」
「頼むよ、亜美」
「イヤッ!」
「亜美っ!」
「イヤァァー!」
静まり返ったホテルの廊下に、亜美の悲鳴が轟いた。
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