10 #2

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亜美の整った顔がグニャリと歪み、その瞳からはボロボロと身を知る雨が零れ落ちる。 ヒーヒーと、過呼吸のように荒い息遣い。 いつもの発作だ。 亜美は由美の事故から、時折、発作を起こすようになった。 「亜美っ、大丈夫、大丈夫だから」 その場に崩れ落ちるように膝をつく亜美を抱きしめ、背中を擦る。 「嫌よ、由美まで失って……、あなたまで失ったら……、私は生きていけない」 あの時の……、あの事故の日のように、体を震わせてむせび泣く亜美。 嗚呼……。 亜美は弱い人間だ。 わかっている、だから今までも離れられずにいた。 「しー、しー、大丈夫だから、俺は居なくならないから……、大丈夫だ、亜美」 そう言うしかなかった。 彼女を腕の中に抱き、彼女を宥めた。 そうするしかなかった。 ――結局、その夜、俺は亜美の部屋で一晩過ごした。
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