10 #2

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惜しむように唇を離すと、月灯りが俺と彼女の唇を繋ぐ糸を照らしていた。 「……これが、証明ですか?」 はぁはぁと小さく息を荒げて潤んだ瞳で彼女は言う。 「そう、証明にならなかった?」 「……なりません」 「ふふ、そっか」 「でも……」 「ん?」 「き……、気持ち良かった……です」 頬を更に赤らめて、こんなセリフを吐く彼女。 ……はは。 ゴクリと喉が鳴ってしまった。 まったく、この子は俺を誘ってんのか? これが飾っているわけでもなく、計算しているわけでもなく、素なのだからビックリだ。
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