10 #2

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10 #2

「……っるい」 月明かりの下、波の音を聞きながら、腕の中の彼女がポツリと言った。 「え?」 「高坂さんは、ずるいです」 言いながら、俺の腕にそっと手を置く。 「……ごめん」 ずるいのは、わかってるから。 「こっち、向いてくれないかな?」 彼女の耳元に唇をあてがって囁くと、体を竦めて首を大きく左右に振る。 「嫌です」 「お願いだから」 「……嫌です」
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