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もういい。
恋なんて、もういい。
そう決めたのに、あなたの手の温かさが私の決意を惑わせる。
JUNさんは尚も私の頬に手を優しくあてがい、囁くように小さく言う。
「これを言うと、余計にあなたを苦しめてしまうかもしれない。
でも、言わせて下さい。
私が……、私が、優心にあなたを貰うと言ったのは、優心の為じゃない。
心の底からの本心なんです。
私は……いつの間にか、あなたを好きになってしまった」
――!
時間が止まったみたいになった。
あれだけひっきりなしに出ていた涙がぴたっと止まる。
「弟の為を想って始めたラブエキスパートなのに、最低です。
私こそ、ラブエキスパートも、兄としても失格です」
私の頬から手を離すと、そのまま自分の前髪をクシャリと乱し、ははっと、乾いた笑いを漏らすJUNさん。
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