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結局、君を奪う度胸もなく、永遠のさよならを告げる度胸もなく、ただ、君を泣かせて傷つけただけ。
ふ……なさけな。
乾いた自嘲を漏らし、彼女にしている腕枕の腕を残したまま、ゴロンと仰向けになった。
恋人同士のような俺達の寝姿が鏡に映っていて、思わず目を閉じた。
目を閉じると、ジワリと熱いモノが込み上げてくる。
半年前に一度は諦めた恋なのに、自分からピリオドを打った恋なのに、こんなにも自分が未練がましいなんてな。
……もう、やめよう。
君を解放するよ。
兄貴との幸せを、俺はもう、邪魔しないから。
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