宣教師狂想曲

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ワタシの名は、フランシスコ・ザビエル。 幼馴染や友人からは、親しみを込めてこう呼ばれている。 「奥歯」。 これはワタシが幼い頃、乳歯の奥歯が抜けた頃につけられたものだ。 忘れもしない。 あれは右上の奥歯だった。 ワタシの実家の隣りは、広大なコーン畑だ。 我が家は貧乏で、腹を空かせたワタシはよくそこのコーンを盗んで食べていた。 こんな事になるのならば、盗みなんて働くんじゃなかった。 今さら後悔したって懺悔したって、もう遅い。 その日は、抜けるような青空が広がる、実にうららかな日だった。 まさに盗み食い日和。 学校から帰ったワタシは、虫捕り網と麻袋を手に、バッタを捕まえるという名目で、堂々とコーン畑に入った。
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