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4月中旬…。
桜が咲きみだれる。
風に舞う花びらが窓を流れている。
その日、真一は組員と花見に北村公園へ行く。
メンバーの中にはかつてライバルだった『デビル』『四天王』『佐賀泉』もいる。
過去最強の座を争った奴等と、祖父『鳥山隆一郎』父『冬川明』泉の父『佐賀和美』を含む50数名での花見酒。
やはりデビルに関しては酒に手をつけず、桜木の下静かに時を過ごす。
泉は飲んだくれて一般客にからむ。
みんな酔いが回り、明るい雰囲気である。
元々上下関係は厳しくない組なだけに、みんな仲がいい。
真一が組長になる当初反対していた輩も今となっては真一に絶大なる信頼を置いている。
真一は組織をまとめる努力などしていないが、自然と周りの人間が真一を中心にまとまってくれる。
真一にはリーダーの格が備わっているのだ。
それを見て隆一郎も安心していた。
組を任せて良かったと…。
まるで、もうすぐ訪れる死を予感させるように隆一郎はその想いを噛みしめるのであった。
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