5/6
前へ
/37ページ
次へ
  スーパーで、帰路の途中の魚屋や商店街で夕飯とかに必要な材料を買ったり貰ったりして、帰宅後もどうにか夕飯の支度に間に合ってホッと一息吐(つ)いたのだけれども家には弟しかいなくて。聞けば、母は溺愛する弟しか迎えに行かなかったらしくて。ぼくは弟に留守を頼み、早々と家を抜け出して未だに帰って来ない妹を探した。 妹の行きそうな場所を一つ一つ探しながら、妹の影を探しながら、やっと妹を見つけた場所は母の弟夫婦が営む喫茶店で寂し気な表情で椅子に座っていた。直ぐ様喫茶店に入れば、妹はぼくを見るや否や明るい表情になり抱き着いて着た。ぼくは安心して妹の頭を撫でると、店内にいた母の義妹である叔母さんに顔を向けた。 「すいません、叔母さん。妹が御世話をお掛けしまして。」 そう言いながら頭を下げると、叔母さんは慌てた風で。 「何を言ってるの?親戚なんだから。」 叔母さんは困った笑みを浮かべて言ってくれた。 『親戚なんだから』つまり『身内なんだから』という言葉が嬉しくて。照れ臭くて、兎にも角にも妹と一緒に一礼して家路に急いだ。家に着けば、未だ母は帰って来ていないようだった。そこで、やっと異様な状況に気付いた。ぼくは、嫌な予感がしたので同じく不安気な表情を浮かべる妹と状況を把握していない弟を二階の自室に避難させた。そして、奥にある両親の寝室に急いだ。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加