日常1

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ふと、肌寒さに目が覚めた。 おぼろげな脳内で理解できたのは、部屋の薄暗さから外がまだ夜明けを迎えていないことだった。 眠気と戦うまぶたは再び閉じられようとしていたが、上半身が少し寒いのは掛け布団が肌蹴ていたらしい。 手探りで布団を手繰り寄せ、ようやくあるべき場所へソレを戻した時、目の前で自分以外の生き物が動くことに気がついた。 「っ!? ……まおっ……!?」 驚きのあまり声を上げたが、すぐに言葉を飲み込んだ。 空気が乾燥しているせいかノドも乾いていたようで、かすれた声しか出なかったのは幸いだ。 昨日は確実に自分だけしか寝ていなかったベッドに、愛しい人がいつの間にかもぐりこんで来ていたようだ。 おぼろげに布団を掛け直していた手に反応し、彼女は深く眠りについたまま、同じ肌寒さに苛まれて身を寄せたらしい。 「んっ……」と小さく唸りながら、決して目を覚ますことなく緒凛の胸元に鼻を摺り寄せてくる仕草に、眠気が一気に吹き飛んでしまったのは言うまでもない。 自分と向かい合った状態でスヨスヨと心地よい寝息を吐きながら、今度は上になっている左手が無意識に何かを探す仕草を見せた。 「……どうした?」 多分、寝ているはずの彼女に小さな声で尋ねると、ちょっとだけ眉間に寄っていたシワがやんわりとほどけ、ふにゃりととろけそうな笑みを浮かべる。 手探りしていた彼女の左手はようやく居場所を見つけたようで、緒凛の背中に手を回すと、先ほどよりもぎゅっと体を寄せて深く息を吐いた。 「…………ぃ」 寝言だろう――寝言だろうが、自分の耳元にはしっかり届いてしまった。 彼女は自分を寝かせないつもりだろうか。 「……可愛い事を言ってくれる……」 悔しさと嬉しさが入り混じりながら、緒凛は幸せをかみ締めるようにつぶやくと、真織を抱きしめるように引き寄せて静かに目を閉じたのだった。 ――緒凛の匂いすきぃ
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