日常2

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我が家の決まりごとの一つとして、出来る限り家族そろって食事をするというのが筆頭にある。 今日は珍しく仕事で家を空けがちな両親が、揃って自宅に居るというにも関わらず、その当人達が朝食を共にする食卓に居ない事が問題だと思う。 そんでもって、もう一つ問題発言をしたのが、五歳になったばかりの末の弟、紘(ひろ)だった。 「そーいえばねー。きのーねー、しらないおねえさんが『あたらしいおかあさんほしくない?』ってきいてきたー」 優雅な朝食タイムの中で間延びした末の弟の言葉に、食卓を共にしていた兄弟達はピタリと動きを止める。次男坊である弟の継(けい)がゆっくりとした動作で隣に座る弟を見、それからチラリと俺の方を確認するよう視線を向ける。 うん、言いたいことは分かってる。むしろこの場に姉ちゃんが居なくて本当に良かったと思う。 既に大学生となって家を出ている姉ちゃんが朝食を共にすることはほとんどない。実の母親を一番慕っているのは姉だから、そんな事実を知ってしまえば烈火のごとく怒って、仕事で――もとい、夜の営みで疲れているだろう両親の寝室に怒鳴り込むんだろうな、と。 あーやだやだ、想像しただけで身震いする。 そんなことを思いながらも、長男としてこの空気をどうにかせねばと口を開いた。 「紘は何て答えたの?」 「いらね!」 にっこにこと屈託のない天使のような笑みで、あざやか過ぎるほど即答して見せた弟に、俺の双子の妹である紬(つむぎ)が自分のデザートであるフルーツを紘に献上した。 無言で差し出されたフルーツに紘は「やったぁ!」と喜んで頬をほころばせているし、隣に座っていた継も「よく言った」と褒めながら自分のさらに乗っていたプチトマトを紘の皿に乗せる。 「わっほーい!」 プチトマトが大好きな紘は椅子の上で小躍りし始めたので「危ないからやめなさい」と咎めるのを忘れない。そんな紘を微笑ましく見ながらも、遠い目をしたかと思えばはぁとため息をついた妹に、俺は激しく同意した。
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