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ショータロー「……………………」
フィリップ「……………………」
名護さん「……………………」
フィリップ「……………………何だい?それは」
名護さん「名護啓介オリジナルボタンコレクションだ」
フィリップ「違う。その財布から飛び出している紙切れだ」
名護さん「これか?これは一万円だ」
フィリップ「……………………」
名護さん「だがまぁ、こんなものはただの紙切れだろう。価値はない」
フィリップ「ただの紙切れではないよ!!」
名護さん「!?」
フィリップ「よく見せてくれ…!」
名護さん「うおっ」
フィリップ「……………………こ、この透かし、まさか本物の日本銀行券、金一萬円!?」
フィリップ「そんな馬鹿な、政府が倒れ、あらゆる紙幣、硬貨が交換手段としての機能を失ってからすでに半世紀以上は過ぎた!札束は例外なく暖房の燃料となり硬貨は溶かして別のものに転用されたはずだ…しかし!今ここにあるのは、その失われたはずの輝きなんだよわかるだろうショータローこの素晴らしさが!!まさしく運命のイタズラだ、いや奇跡だよ」
ショータロー「あ、ああ…」
フィリップ「名護さん、僕たちは貴方の依頼を受けようと思う。対価はこの財布の中にある紙幣と硬貨全部!!それで構わないかな…?」
名護さん「いいだろう。好きに持って行きなさい」
ショータロー「おい、フィリップ…その金どうするんだ」
フィリップ「コレクションするに決まっているだろう」
ショータロー「いや、でも飲み食いに使えるわけじゃないぜ」
フィリップ「だからなんだというんだい?破滅の運命を免れた宝物を保管する喜び…それに比べたら僕らの命など屁でもない。それに、君がすぐ新しい依頼人を連れてきて、その人に食料やら何やらを貰えば良い話じゃないのかい?」
ショータロー「…お前言ってること無茶苦茶じゃないか」
名護さん(ボタンコレクションを守り抜けてよかった)
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