逃避

17/22
前へ
/36ページ
次へ
気付いていて 構わず声をかけてくる意味が 私にはちょっとわからないけど。 「嫌われてんのはわかってるよ。 わりと鬱陶しいだろ、俺」 「そんなことは……」 「いいよ。自覚はある」 「そうじゃなくて。 私はただ…… 志藤くんが恐いだけ」 「恐い? 俺が?」 心外だ、という顔をする彼に 私は苦く笑った。 本質を見抜く力のある彼に 私の内側を見透かされるのが とてもとても、恐いのだ。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1958人が本棚に入れています
本棚に追加