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も、だめだ、あたし。
素面(しらふ)じゃいられないっ。
常務の甘い囁きから逃げるように
グラスをがっと掴み、
残りのモスコミュールを全部飲み干した。
「―――…くくっ」
突然、
常務が口元を掌で押えて
笑いを必死で堪えているのを見て、
はっと我に返った。
ま、ま、まさか。
またなの!?
からかってるだけなの!?
あたし、また、騙された!?
鍋にかけたお湯が
ぐらぐらと沸きだすように
怒りで体が揺れて来た。
「い、い、一体、
今のはどこからどこまで本当なのよっ!?
それとも、全部、嘘なの!?」
あたし、
絶対この人のこと好きじゃなかったと思う。
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