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「ねえ、森野。あなたは初対面なの?」
目線を上げて、森野を見る。
目線を下げた森野と目が合った。
……。
…………。
森野、なんで何も言わない?
「上目遣いのはなちゃん、レッアー♪」
両頬をつかまれ、挙句の果てに抱きつかれた。
……いつものお約束ね。
「私の記憶の中には、今の彼はいませんよ。ただ、初対面ではないような気がします」
肩越しに森野の声が聞こえた。
「確かに。森野と小僧は同じにおいがする」
「はなちゃんはピーチの匂いがスルー♪」
髪を嗅ぐな。
「その匂いじゃない!!」
「小僧ですか、私にはそう見えませんが。そうですね、ある種、同じ類かもしれません」
「それにしても、今はあんな小僧を相手してる気分じゃないのに」
「ひとりで失恋の傷をなめていたいのですか?猫じゃあるまいしぃ」
「そこまでへこんでないわよっ、私が振ったんだし」
森野の胸を両手で押した。
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