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今日は一段とまつ毛盛ってるわね、小林さん。
挨拶代わりに右手を上げて、社長室の扉を開けた。
「おかえりなさいませ、社長。ご連絡いただければお迎えに上がりましたのに」
私も今日ほど迎えに来て欲しかった日はないわ、森野。
スマホを自宅に忘れてきたのは痛かった。
森野にコートとカバンを渡して、私専用の椅子にダイブした。
靴を脱いで膝を抱えてうずくまる。
この背もたれのもふもふ感、たまらないわー。
「はなちゃん、こっちも温かいよぉ」
大男が両手を挙げて、中腰になってる。
――ごめん、森野。疲れすぎてつっ込めない。
「随分お疲れのご様子。お見受けするにコースはSかAといったところでしょうか」
はい、そうですよ。だから寝不足なんですよ。
「森野、エスプレッソ倍量で入れて」
「……すぐにお持ちします」
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