恋に焦がれ恋に泣く

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「ぶほっ、めっちゃ苦いっ」 今、身体ぶるっとしたわ。 「こちらのアイスの上にそのエスプレッソを入れますと、イタリアのスイーツ、アフォガートの出来上がりです」 「すごくおいしい!」 「社長がご所望でしたら、いつでもお作りしますよ」 いつも私の欲しいものをくれる森野は、魔法使いみたいね。 「これ、スタッフの分も用意できるかしら?」 「おや、珍しいご配慮」 ……何にやにやしてるのよっ! かがんで私を見る森野をにらんだ。 「ぷっ、お任せください」 吹き出すほど可笑しいところ? ごちそうさまと、カップをテーブルの上に置いた。 「桜崎様とのこと、少しは話される気になりましたか?」 ――そこ、聞くよね。 昨日の今日だし。 くるりと椅子を回転させて、森野に背を向けた。
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