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ポケットのスマホが、揺れた。
『空蝉の恋』が聞こえる。
――まさか
あいつ専用の着信音
どうする?
……声が聞きたい。
また元に戻りたいの?
……。
ポケットからスマホを取り出して画面を見た。
――ユウタから着信って、どういうこと!?
あ、切れた。
もう掛けなおしてやる!!
CDの音量をオフにして、リダイヤルする。
今度は少し離れたところから『空蝉の恋』が聞こえてきた。
『はなさん?』
――一瞬、あいつかと思った。
「今どこ?」
『社長室の前。入っていい?』
社長室の扉を開けると、先ほどと同じ紙袋を持ったユウタがにっこり笑って立っていた。
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