恋に焦がれ恋に泣く

27/83
前へ
/83ページ
次へ
ポケットのスマホが、揺れた。 『空蝉の恋』が聞こえる。 ――まさか あいつ専用の着信音 どうする? ……声が聞きたい。 また元に戻りたいの? ……。 ポケットからスマホを取り出して画面を見た。 ――ユウタから着信って、どういうこと!? あ、切れた。 もう掛けなおしてやる!! CDの音量をオフにして、リダイヤルする。 今度は少し離れたところから『空蝉の恋』が聞こえてきた。 『はなさん?』 ――一瞬、あいつかと思った。 「今どこ?」 『社長室の前。入っていい?』 社長室の扉を開けると、先ほどと同じ紙袋を持ったユウタがにっこり笑って立っていた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加