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「ひどいじゃない! どうして私のスマホの設定、勝手に変えたのよぉ」
こらえきれずに、涙があふれた。
ユウタは社員の机の上に荷物を置いて、言った。
「神楽涼介さんからの連絡待ってるの?」
「そうじゃないけど、そうかも」
なに弱音吐いてんだろ、私。
――あれ。
あいつのこと話したかしら?
「あー、寝言で名前読んでたから。さっき下で、警備員さんに新しい彼氏って聞かれたし」
寝てるときまで、あいつのこと考えてるなんて。
――笑えるじゃない。
「外寒かったから、温まってもいい?」
こんなときに聞くって、ずるくない?
嫌って言えないじゃない。
「毛布あるよ」
「そんなんじゃ、足りない」
ユウタに引き寄せられて、抱きしめられた。
「うっ、うっ」
嗚咽が漏れる。
ユウタの背中をさする手が、
『泣きたいだけ、泣いていいんだよ』
そう言ってくれてるみたいで、
ユウタの背中に手を回して、しばらく泣いた。
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