33人が本棚に入れています
本棚に追加
――私が、泣いた。
人前では泣けない私が、ユウタの前で2回も泣いた。
……このあと、どうしたらいいのかしら。
ただ今、ユウタの腕の中。
無性に恥ずかしくなって、ユウタの肩に顔をうずめた。
「……ねえ、ユウタ」
私らしくない、甘い声。
私の背中をさすっていたユウタの手が、止まった。
「はい?」
身体を離して、ユウタを見上げた。
切れ長でつり目。
無表情だけど、不思議と怖くなかった。
ゆっくりとユウタの両頬を包んで、顔を近づける。
そして思いきりその手に力をこめた。
「どうして人のスマホ、触ったのよ!」
どうだ、これなら逃げられまい!!
「いたたたたたたたっ、ぼぶちはぶ!」
ぷっ、おかしくなってユウタの顔の前で吹いてしまい、口元を押さえた。
――しまった、手を離してしまった!
最初のコメントを投稿しよう!