33人が本棚に入れています
本棚に追加
「詰めが甘いね、はなさん」
そういって、ユウタは私の左頬をつまんだ。
「おなか空いてますって、顔に書いてある」
左手の人差し指で私のおでこを小突いた。
いたっ。
どこに書いてあるのよっ!
「うそちゅき」
あぁぁーっ、穴があったら入りたい!!!
ええい、もう手を離さんかいっ。
ユウタはおかしくてたまらないのか、おなかを抱えて笑い始めた。
「はなさんの顔、真っ赤。かわいく見える、ぷっ」
なっ、かわいい!?
両手で頬を押さえた。
さらっと言うじゃないの。
――頬が熱くなる。
あ、心がちょっと軽くなってる?
「ところで、今日はうちに帰らないから」
ユウタの笑い声が止まった。
「なんで?」
社長室にあるカバンから参考文献を数冊出して、ユウタの荷物の横に置いた。
「大学のレポートの期日が迫ってるの。だから今夜はここで徹夜するわ」
最初のコメントを投稿しよう!