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「お役に立てて、光栄です」
ふふ、なんだか森野みたい。
コーヒーを手渡してくれたユウタにお礼を言って、一口飲んだ。
「はー、生き返るー」
「僕、今日ここに泊まります」
なんですと!!!!!!!!?
「え、どうして?」
「帰っても抱き枕ないから、眠れないでしょ」
……なるほどって、関心してる場合じゃないし。
それじゃ、ここで徹夜する意味もないわけで。
「あのね、急ぎのレポートなの。ユウタをかまっている暇はないし、落ち着いて集中して仕上げたいのよ」
「僕も締切間近のレポートあるから」
ユウタはカバンからパソコンを取り出して、森野の机の上に置いた。
「僕はこっち。社長室の扉を閉めれば、はなさんは一人でゆっくりレポート書けるでしょ」
大学生なのよね、ユウタも。
「本当に邪魔しない?」
「僕もギリギリだから、はなさんのことかまってあげられなくて申し訳ないくらい」
ユウタは私の頭をなでた。
ユウタが笑ってる。
――この顔、嫌いじゃないわ。
「わ、わかったわよ。ユウタはそっち、私はこっち。むやみに話しかけないでくれるかしら?」
「はいはい、了解、社長さん」
ぐりぐり頭をなでられて、頭が左右に揺れた。
ちょ、目が廻るから、やめんかいっ。
もさもさの頭を直しながら、社長室の扉を閉めた。
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