恋に焦がれ恋に泣く

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□ □ □ 「…………社長」 「……社長!!」 体が揺れて、目を開けた。 ――あれ、森野? 「これはどういう状況でしょうか?」 私、寝てた? 森野、怒ってる? ソファから体を起こそうとして、異変に気づく。 ユウタが私を後ろからホールドしていた。 私、会社でなんてことを!! 「服がはだけていますよ」 森野はめくれ上がったスカートからのぞく脚を隠すようにタオルをあてがい、私の手を引いてソファから立たせてくれた。 怖くて森野の顔が見られない。 「お体に異常はありませんか?」 「平気。……森野、ごめんなさい」 「それは、どういう意味でしょうか?」 いつも気に掛けてくれるのに、ごめんなさい。 契約内容もきちんと話さなくて、ごめんなさい。 そしていつもそばにいてくれて……。 「間違えたわ。いつもありがとう」 森野の顔を見て、にこっと笑った。 「珍しく素直じゃないですか、無理は禁物ですよ?」 素直になるのも勇気がいるんです。
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