恋に焦がれ恋に泣く

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「それでは、説明してもらえますか?」 森野はユウタを指差した。 「私がね、ユウタの抱き枕になったの」 「は?」 そうよね、私もはじめはそんな感じだったわ。 「今のユウタの望みは、私を自分専用の抱き枕にすることなの。それで昨晩は私がここで徹夜するって言ったら、自分もレポートがあるっていうから。ここで一緒にレポート作成してました」 上目遣いに森野の顔色を伺う。 ……怒ってはいないみたいね。 「状況はわかりました。もう少し掘り下げて伺いたいところですが、本日の授業は何限目からでしょうか? そろそろ従業員が出社する時間帯になりますが」 森野の背後にある時計を見た。 8時30分!! 「今日は一限目から授業があるのよ、急がなきゃ」 周りの教科書や資料をカバンに詰めた。 「うっわ、遅刻っ!」 背後からユウタの声がして、びくっとした。 「桜崎様、今頃お目覚めですか」 森野、ものすごくトーン下がってるから。
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