恋に焦がれ恋に泣く

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□ □ □ ふーっとため息をついて時計を見ると、既に18時を過ぎていた。 「お疲れ様、今日はもう上がっていいわよ」 「お先に失礼します」 「また明日、よろしくね」 スタッフに声を掛けて、社長室の扉を閉めた。 都心に位置する超高層ビルの一角にある、真新しい事務所。 「いいんですか、社長。アルバイトに甘すぎですよぉ」 耳元でぼそりつぶやくのは、190cm超えの大男、用心棒じゃなくて、一応秘書。 「……森野、何度言ったらわかるの? ささやき禁止!」 あぁ、耳がこそばゆいじゃないのっ。 「これは失礼しましたぁ、はなちゃん!」 ん、その戦闘体制、今日もくる? くるの? きたーーー!!! 大男に羽交い絞めされる、いたいけな少女の図。 なはずはなく、 「も、森野、ぐるしいっ、離せーー」 「いいじゃないのぉ、誰もいないんだしぃ」 腕、腕、それと顔も地味に痛いから。 「何言ってるのよ、誰かに見られたら、私の威厳に」 「いらっしゃませ、お待ちしておりました」 森野の声がワントーン下がり、私の背後の人物に話しかけた。
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