恋に焦がれ恋に泣く

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戻ってきた森野にすり寄り、さっきから浮かぶ疑問を投げてみた。 「ところで森野、桜崎様との契約の件、聞いてないけど?」 「社長、契約はもう済んでおります」 森野、何なのよ、その気味の悪いスマイルは。 手招きした私の背丈に合わせて、森野がかがむ。 「まさかと思うけど、城太郎おじ様のクライアントなの?」 森野の耳元でささやいた。 「おや、耳元でささやかれるのはお嫌いなくせに、なさるのはお好きなようですね?」 だからそのスマイルはいらないから。 「現時点で対応できる人員はいないわよね、もしかして森野が相手するの?」 「いいえ、あなたですよ、社長」 だから、人に指差しちゃだめだから。 森野の人差し指を叩く。 「へ、わたし!?」
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