恋に焦がれ恋に泣く

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「そうでしたか、次はハワイコナをご用意いたします」 森野は桜崎に頭を下げた。 「その必要はないよ、だって明日からキミはここの秘書じゃないんだから」 桜崎は自分の顔の前で、森野に人差し指を向けた。 「「えっ」」 あまりの驚きに、森野とハモったじゃないの! 桜崎はタルトのアーモンドをつまんで、口に放り込んだ。 「ん、おいしー」 「あの桜崎様、私のおじとどのような契約をなさったかは存じ上げませんが、森野を解雇するのは私以外に権限はございません」 ……。 …………。 食べてないで、何か言いなさいよ。 「あはは、軽いジョーク。霧矢さんの驚いた顔が見たかっただけ」 桜崎は指をなめた後、両手を合わせて「ごちそうさま」と言った。
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