第2話

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相手が7匹と分かったらどうという訳ではない。やることは、変わらない。 無理と分かっていてもなるべく、生き続ける事だ。まだ10数年しか生きてないが、命が大切な事は知っているつもりだ。 一般人ならどうするだろう。叫ぶ、集中するために黙る。普通ならば、この二つだ。しかし、その少年がした事は、挑発だ。自分が負ける事が分かっていても、挑発という行為をすることにより、魔獣の行動が単純化してしまう。 少年の思惑通りに魔獣の一匹は、普通の突進をかまして来た。 それを少年は、横っ飛びに飛んで避けがむしゃらに短剣を振り回す。 当たるかどうか、分からないがどうにかなるはずだ。やらないよりかは、マシだ。 運良く、一回だけグサッと刺さった。詳しく見ると、目に刺さったらしい。 魔獣の一匹に短剣が刺さったから残りの6匹には、素手で戦わなければならない。 3匹が同時に飛んでくる。少年は1匹を殴りつける。魔獣は軽々と避ける。そのうち、他の2匹が背中に噛み付いてくる。それを手で振り払うと魔獣たちはもう一度、距離を取った。 そのとき、急にめまいがして、倒れた。どうやら血が出過ぎたっぽい。 生きたい。死にたくない。今まで思っていたことがうその様に引いていった。嗚呼、死ぬんだなとしか思わない。 覚悟っぽいものを終えると魔獣は寄ってきた。 もう終わりだと思い目を閉じてジッとした。 ……しかし、一向に身体に痛みは感じない。目を開けてみると6匹の魔獣は血を流して倒れていた。 自分が生きれたと思うと身体から力が抜けていった。それと同時に意識を保てなくなった。世界が暗転した。
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