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あたしはその場所で尻餅を突いたまま、涙でぐちゃぐちゃになった顔を袖で拭っていた。
すると、上の方から吹きだす音がした。
「ぷっ!」
あたしは辺りを見回した。
すると、さっきまでの冷ややかな声とは、打って変わって暖かなバリトンで、あたしにもう一度尋ねて来た。
「大丈夫か? 怪我はないか?」
あたしが答えようと顔を向けると再び吹きだす声がした。
「ぷっ!」
ナニこいつ失礼しちゃう。
あたしは状況を忘れて眉をひそめて口をすぼめた。
そのあたしを見ると今度は大声で笑った。
「あははっ!」
少しくせ毛の笑った顔を暖かく思った。
あたしって単純なのかな?
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