出会いと……

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「こんなとこで何してんの?」 「へ?」 誰も来ないと油断していた私は、突然聞こえてきた声に対して間抜けな反応しか出来なかった。 家から徒歩30分のこの丘は、入り組んだ道を抜けないとたどり着けない私の秘密の場所、だったはずだ。 中でもひときわ大きな木の影で昼寝するのが1番のお気に入りだったりする。 今日もそのつもりで寝転び、目を閉じたのだけれど…… 「なぁ、アンタ聞いてる?」 さっきより幾分低くなった声が聞こえてきた。 「……聞いてるわよ」 昼寝を邪魔された私の機嫌も急降下。 無意識に声が低くなった。 そうして半眼で振り返ったそこには、色素の薄い少年が立っていた。 サラサラの淡い金髪に明るい茶色の目。 肌の色も驚くほど白くて、今にも透けてしまいそうだと思った。 実際にそんなことあるわけないって分かってるけど。 「で、ここで何やってんの」 見下すような彼の視線にイライラがつのる。 「何って昼寝しようとしてるのよ。悪い?」 「……別に」 私の口調に気圧されたのか視線を漂わせる。 「アンタ、ぜってー友達少ねぇだろ」 ボソッと言われた言葉は、確かに的を得ていた。 「いないわよ」 「え」 「私、人間が嫌いだもの」 友達なんか、作ったことない。 作りたいとも思ったこともない。 「黙ってりゃキレイなのに。もったいねぇな」 「それはどうも。とっととどっか行ってくれる?」 いくら目を閉じてたって人の気配があったら眠れない。 「やだ。俺アンタに興味持っちゃったし」 「…………………は?」 意味が分からず、さっきよりも間抜けな声が出てしまった。 .
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