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私が木陰に寝転ぶと同時にカサリというわずかな足音と衣擦れの音がする。
「また、来たの」
振り返れば、昨日、私のことを気に入ったとの
たまった彼がいた。
「別に邪魔しないからいいだろ?」
「よくない」
バッサリ切り捨てて追い払う仕草をするも、彼はストンと私の隣に腰を降ろした。
「ちょっとアンタ、人の話」
「聞いてるよ」
私の言葉を遮るように発された言葉に驚いて目を丸くする。
「ちゃんと、聞いてる」
ゆっくりともう一度彼が言った。
人間と“会話”をしたのなんて一体どれくらいぶりだろう。
「なんでっ、……」
自分が何を言いたいのかよく分からない。
分からないまま、でも何か言わなければと思考がこんがらがる。
「俺も人間が嫌いだったから分かる」
彼が自嘲気味に笑った。
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